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ホーム 現場レポート 過去と未来の技術が重なりあう浄水場
KKEの現場レポート
静岡県・門屋浄水場
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静岡県と山梨県の県境となる標高2,000mの大谷嶺から駿河湾まで全長51km、流域面積は567km²に渡って静岡県中部を流れる安倍川。大河川でありながら本流・支流にひとつも河川法上のダムが無い珍しい一級河川です。 日本でも屈指の急流河川で流れに運ばれる大量の土砂によって河口付近から三保半島にかけての砂浜を作り出します。 この安倍川の水を浄水処理し、葵区と駿河区で使われている水のおよそ1/4を供給しているのが門屋浄水場。昭和8年からほぼ一世紀にわたり、自然の恵みの水から暮らしに必要な水を作り続けてきた貴重な施設です。 24時間体制で施設の運転管理を担う職員に話を聞きました。
この安倍川は清流としても有名です。上流部分は山間部を流れるので水質が非常に清浄で、下流の扇状地は地下水が豊富で市街地や農地にその水が供給され、地域の生活や経済活動に欠かせない存在となっています。 門屋浄水場ではこの安倍川流域に分布する砂れき層を流れる伏流水を、葵区北部の牛妻水源地で取水しています。
「ここの原水は水道水にするためにあまり手を加える必要がないほど、とてもきれいで品質も良い水です。おかげで施設内の機械の汚れも少ないんですよ。」
安倍川の水は自然の恵み。この浄水場のろ過池に貯められた吸い込まれるように透明な水を見ると、自然の水の清らかな美しさに感動します。実はこうして人が使える水は地球上に存在する水のうちわずか0.01%しかないと言われていますが、浄水場はこの「清らかな水」を大切に処理して安心して暮らしで使える「貴重な水・水道水」として送り続けるという使命を担ってきたのだと改めて思いました。
この門屋浄水場は静岡市の静岡地区と呼ばれる区域の水道創設期から稼働している歴史的な価値も高い施設です。なにより特徴的なのは昔ながらの「緩速ろ過方式」と「急速ろ過方式」という新旧2つの浄水処理設備があり、1998年に市民景観大賞を受賞しました。 「緩速ろ過方式」はろ過池に原水を注入し、大きさの違う砂と小砂利の層をゆっくりと浸透させ不純物や濁りを取り除く方式です。広いろ過池でろ過砂の表面にできる微生物のろ過膜によって水をきれいにします。
「緩速ろ過は薬品を使わずに自然の力、生物の力を借りて処理するのでとても美味しいと言われますね。 それに対して急速ろ過は30倍もの速さでろ過することができるんです。」
時代の中で急速に変化していった産業や暮らしに合わせて、より多くの安全な水を供給するための「進化」を遂げた新しい設備。ここは、水と暮らしを繋いで安全な水を送り続けるという同じ思いの、新旧二つの技術を目の当たりにすることができる貴重な浄水場です。
機器や設備の点検は重要な仕事のひとつです。老朽化が進む施設を延命化するために、きめ細やかな点検を行い、トラブルを予測して事前に防ぐ、経験と高いスキルが必要です。
「マニュアルはあります。でもそれだけでなく、やっぱり五感で感じて機器に異常があるか、いつもと違うかを感じるというか。たとえば異音などがあれば、すぐに報告して対応を検討するといったことが大事ですね。」
日々積み重ねる経験はチームで共有して使える情報として蓄えていく。さらに全国の浄水場の維持管理にも役立てる。そうしたチームワーク、ネットワークはクボタグループの強みのひとつです。 事業所のスタッフは10名。ローテーションを組んで24時間体制での運転業務を行なっています。
「やはりトラブル対応が一番ですね。停電や原水の濁度が急に上がったりした場合の対応などです。最近では異常気象というか、大型の台風や線状降水帯も気になっています。やっぱり市民の皆さんに安全な水を供給するっていう使命がありますし。」
大切なライフラインである水道が止まることのないように。 設備の更新やDXの活用など、きれいなおいしい水を作る取り組みが続きます。