
KKEの現場レポート
世界に脱硫技術を展開するグローバルな発想力
考えを示し確実に伝えるコミュニケーションがスタートライン
世界の様々な地域がそれぞれの「環境」と向き合う現代。私たちは海外への事業展開も積極的に進めています。そしてその最前線で重要な役割を担い、活躍する外国人エンジニアがいます。タイのバンコクで生まれ、タイの大学で環境工学を専攻。卒業後に日本の大学とヨーロッパの大学での学び・研究を経て再び日本に戻り脱硫装置で世界と向き合うエンジニアに話を聞きました。
「最初は日本語もよくわかりませんでした。でも、深い考えを示すためには『書いて表現する』ことが必要だと感じ、繰り返し勉強しました。その後ヨーロッパのラボで、『自分の考えを示す』ことに時間をかけなさいと言われたことにとても影響を受け、今でも『言葉を使って考えを示す』コミュニケーションがとても重要だと感じています。」
読解力、傾聴力、発話力、作文力を磨くことがグローバルなステージに立つ必須条件。
誤解されて流されてしまうことが無いように、考え、示し方を熟慮し、丁寧に発言をしたり資料を作成したりする、そのクオリティが求められるといいます。
「日々国内外のさまざまな人とのやりとりがあります。文化が異なる人とやり取りをするのだからこそ、確実にアピールするためには自分のほうが相手に合わせてコミュニケーションの仕方を柔軟に切り替えることが大切なんです。」

強い興味と世界的ニーズとの出会い
「最初は下水処理や排水処理の分野を専門としていました。脱硫技術との関わりは日本の大学のあと、一度タイに戻った時に関わった会社で、脱硫の技術と出会ったのがきっかけです。非常に興味がわき、その後専門的に携わるようになりました。」
排煙脱硫は、発電所や工場で化石燃料の燃焼などによって発生した排ガスから、大気汚染や酸性雨など公害の原因となる硫黄酸化物を除去する技術で、クボタ環境エンジニアリングでは多様な民間工場に排水、排ガスの処理技術を提供しています。主な脱硫方法には「水酸化マグネシウム法」「石灰石膏法」「海水法」「苛性ソーダ法」の4種類があります。
化石燃料の使用を少なくしようとしている流れの中で、まだ先の見えない現実を抱える多くの施設がこの技術を必要としています。
「私たちの実績は主に海外で、タイの発電所、台湾の発電所、中国の発電所、メキシコの工場などですが、脱硫装置の役割は非常に重要なんです。」
タイにいた頃から持っていた脱硫技術への興味の裏側に、現実に直面したグローバルなニーズとビジネスとしての競争価値を見出し、海外を相手に事業展開を加速したいと語る言葉には、世界を広い視野で感じ取るグローバル人材のならではの感性が表れています。

ネオブリッド式スクラバー
吸収剤:海水法

モレタナ式スクラバー
吸収剤:水酸化マグネシウム法・海水法・苛性ソーダ法

スプレー式スクラバー
吸収剤:石灰石膏法
さらに大きなステージを目指して
日本国内でも脱硫技術を持つ企業は多くありません。
「その中で私たちは自社で発電を行う大きな規模の民間工場を手掛けることが多いのが特徴です。大きな工場は自ら発電していることが多いんです。しかもこの規模の施設に対応できる企業は世界的にも非常に少なく私たちにアドバンテージがあります。
今後対応できる規模を広げるためにさらに競争力を高めていきたいです。」
この規模の工場への対応を進めると同時にさらに大型発電所の大きな規模の脱硫装置も手がけていきたいと声が弾みます。
大型発電所で採用される「海水脱硫法」は排ガスを吸収液中に通して硫黄酸化物を除去する方法で、吸収剤として海水のみを使用します。海水が大量に必要ですが施設を海岸部に建設することで賄います。薬品を使わないため使用後の海水は無害化され海に放出することができ、副生成物が発生することもなく環境に優しい技術です。
「こうした大型発電所の設備もやっていきたいという思いがあります。そのために大手エンジニアリング会社との競争に必要な体制づくりをしたいと考えています。
海外の案件で設計から建設までこなす経験・実績があるのが私たちの強み。さらにマンパワーを育てていこうと思っています。」
その好奇心と思いは海の垣根を軽々と越え、国内外への挑戦的なアプローチをスマートに、そしてチームが積極的にチャレンジする原動力となっているのだ、と強く感じられます。

視野を広げ多様性と創造性を育む
所属部内のメンバーはそれぞれ自分の役割を理解してチームワークを発揮しているといいます。これは日本流だと感じるそうです。現場から見ると会社が何かを最終的に決断するのに慎重で少し時間がかかると感じる、というのも文化の違いがあるのかも知れません。
「日本の良いところは「学び」として取り入れつつ、自身の文化と比較して改善できると思う点も多くあります。例えば、日本は時間やルールに貴重面で、図面は詳細に作成されていて分かりやすい。その一方で書類作成の際にはどんな相手に対しても誤解を生まないよう改善の余地があると思います。」
受注対応できる規模の幅を広げるために重要なことは? の問いには即答で「発想力」。
情報がすぐに手に入りやすくなった今日ですが、「前例と同じでいい」ではなく、考えて行動に移すことをチームに伝えることが大切だと語ってくれました。
「私の場合、いろいろな会社からたくさんのチャンスをいただいて経験やデータなど蓄積してきたものがあります。これをちゃんと残したい。もちろんモノとして残すということだけではなく、作り方、書き方、示し方、そういったものを残したいですね。」
グローバルな視点を持ったリーダーシップの育成は続きます。

クボタ環境エンジニアリングでは長年にわたり排煙脱硫技術の効率化と改良の実績を重ね、小型から大型まであらゆるガス量にも対応。さらに脱硝・脱臭・揮発性化合物・有毒ガスなどの排ガス処理も実現しています。