福島県・双葉町仮設灰処理第一施設
クボタグループはこれまで「食料・水・環境」のさまざまな課題に向き合い、時代とともに経験を積んできました。 かつて社会問題になった香川県・豊島に不法投棄された大量の産業廃棄物処理もそのひとつです。 およそ91.3万トンとも言われた大量の廃棄物を無害化・再資源化する処理にクボタの回転式表面溶融炉が採用され、2019年に廃棄物処理を終えました。 東日本大震災からの復興という大きな社会問題に貢献するこの建設や運転管理にもこうして培われた技術やデータが活かされています。
双葉町のこの施設で求められるのは大量の廃棄物の速やかな処理に加え、放射性物質を含む廃棄物への対応です。さまざまな知恵を結集し、この施設ならではの運転方法、仕組みや構造、独自に設計された機器が導入されています。
たとえば、焼却灰やばいじんの受け入れから溶融、灰処理ばいじんの搬出に至るまでの多くの工程が自動化され、さまざまな処理装置や機器も放射性物質が漏れることのないよう設計されました。
運転管理の日々の業務では、管理区域への入域の際などには線量計でのモニタリングや記録など従事する作業員の安全も厳格に管理しています。
溶融炉を中心に、溶融する前に処理対象物を破砕・選別するなどの前処理と排ガス処理などの後処理のための設備があります。
放射性物質を含む廃棄物の処理を行うために、さまざまな処理や作業を自動化することで作業員の放射線被ばくリスクを低減しています。
灰処理対象物(焼却灰やばいじん)が搬入される受け入れヤードでは灰処理対象物の荷下ろし作業を移動床などにより自動化。
焼却灰やばいじんが充填されたフレキシブルコンテナには個別の重さや放射性物質の濃度などの情報が入ったタグが付けられ、自動で情報の確認や仕分けが行われます。
処理対象物は施設の最上階へ自動で送られ、破砕・選別によって溶融に適した性状にする前処理工程に入ります。フレキシブルコンテナは水の圧力を利用したウォータージェットカッターで切断し、内容物と分離します。
灰処理ばいじんは、柔軟性、密閉性に優れた樹脂製の袋に充填され鋼鉄製の角形容器に自動で収められます。鋼製角形容器は搬出前に放射線の汚染が無いことを確認し、搬出車両の汚染検査も行い、廃棄物貯蔵施設へと搬出されます。
管理区域内での作業では電子線量計の携帯や体表面モニターを用いた汚染検査を行なっています。
また、施設の内外では各所で常時放射線の監視を行い、施設を出入りする車両も厳重にスクリーニング管理されています。
体表面モニターを用いた汚染検査
エリアモニタやダストモニタによる連続監視
敷地内に設置されたモニタリングポスト
施設を出入りする車両のスクリーニング管理
膨大な不法投棄廃棄物の
処理を完了